●異形(矩形、複合円形)トンネル
トンネル断面の大断面化に伴い、円形断面では不要な断面が大きく生じてしまう場合は、異形断面を採用することで経済的な施工が可能となるケースがあります。また、都市部の土被りが浅い箇所や十分な施工範囲が取れない箇所など、施工条件の制約から異形断面を採用されるケースがあります。異形断面では、円形断面に比べ曲げモーメントが大きくなりますが、高い強度を有する合成セグメントはこの様な異形断面に対しても適用可能です。
●内水圧トンネル
地下河川や雨水貯留管などの用途のトンネルでは、トンネル外側からの地下水圧に比べてトンネル内側からの内水圧のほうが大きくなることがあります。この場合、トンネルには円周方向に引張力が作用しますが、合成セグメントは外面を鋼殻で覆われた構造なので、引張力が生じる状況でも高い止水性を確保できます。
●用地制限区域
市街地に敷設されるトンネルでは、敷設する用地が制限されるケースがあります。合成セグメントは鋼殻とコンクリートの合成構造であるため、従来のセグメントと比べてセグメント厚さを抑えることが可能であり、制限された範囲の中でも必要内空断面を確保することが可能となります。
●急曲線トンネル
急曲線トンネル敷設時に、トンネル覆工には、ジャッキの偏心、片押し、シールドマシンテールとのせりによる局所的な施工時荷重が作用します。合成セグメントは鋼殻で覆われた構造であるため、このような局所的な施工時荷重に対してコンクリートの損傷を防ぐことができます。
●高耐震性トンネル
大規模な地震荷重が作用した場合、トンネル覆工周辺の地盤は大きく変形します。合成セグメントは高変形性能(高靱性)を有しているため、このような大きな地盤変形に対して追従できます。
●軟弱地盤敷設トンネル
軟弱地盤に敷設されるトンネルは地山の自立性が低いため、トンネル覆工には大きな土圧が作用します。合成セグメントは高耐力構造であるため、このような大きな土圧に対して薄壁構造で対応できます。
●併設トンネル
併設トンネルでは、先行トンネルは後行トンネルの掘削影響(切羽圧、裏込め注入圧等)を受けます。この影響はトンネルの距離が近いほど大きくなります。これらの掘削影響に対して、合成セグメントは高強度であるため、トンネルの距離を近づけることが可能です。
●大規模上載荷重
地表面に大規模構造物が存在する、あるいは将来的に大規模構造物の建設が予定されている地下直下をトンネルが通過する場合、建物荷重を考慮してトンネルを設計する必要があります。合成セグメントは薄壁構造でも高強度であるため、このような大規模上載荷重に対応可能です。